ふらっと立ち寄った85パーセントの人たちが満足し、友達に薦めたい、また読みたい、孫に朗読して聞かせたい、読むと髪の毛が増えた、肩こりが取れたと思えるような日記を目指して酒にタバコ、女性にギャンブルにと明け暮れる日々を綴ります。
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我輩が勝手に流行らせようとしているものに『巻物メール』という珠玉の言葉があります。
この『巻物メール』または『巻物』とは、異様に長文で感情をぶつけてくるメールのことを指します。たとえば、交際していた女性に一方的に別れを告げられた男性が、納得できない感情を気の昂ぶりと共に恥も外聞もなく相手に送りつけたズラララーッと長いメールなどが我輩の言うところの『巻物メール』です。とにかくスクロールしてもスクロールしても、次から次に不平や不満、疑念、疑問、疑惑などが延々と綴られているメールのことです。
過去に何度か拝見した『巻物』からは、人々の激しい怨嗟の声を垣間見ました。まさに怖憚るる暗黒の闇を覗き込むが如くでした。理性より感情が勝っても碌なことにならない見本のような『巻物』に怖気、寒気、そして狂気を感じたのです。それでも感情の発露をぶつけずには引き下がれない、引き下がる気がないという自尊心の葛藤を悲しく思います。
ここで我輩がしているのは『巻物』の受け取り手と送り手を単純な二元論で善と悪に二分する話ではありません。どちらかが悪いとか、どちらかの主張が正しいとか間違っているなどという外側の話です。詳しい事情は知りませんけど、という前置きが常に頭についていると考えてお読みください。
昔、ある顔見知りで軽い会話だけはするといった程度の付き合いの男女がいました。かつて男女は交際をしていたらしいという話だけは知っています。男性のほうが我輩に「あの女は駄目な奴だ。金は借りて返さないし、証拠はないけれど浮気もしてた」と言いました。我輩は「へえ、そんなふうには見えませんでしたけどね」と言いました。後日、女性のほうと話をする機会がありました。女性は「あの男は暴力は振るうし、禄でもない男だ。別れてもしつこく電話してくるしストーカーみたいだ」と言いました。我輩は「へえ、そんなふうには見えませんでしたけどね」と答えることしかできませんでした。どちらが正しいとも悪いとも分かりません。言い分そのものが本当に的を射ているのかも分かりません。そういうことです。
それを踏まえて『巻物』に話を戻しますが、かつて我輩の読んだ巻物メールの概要を幾つか紹介したいと思います。
ある一人は、別れを告げられた女性に向けて『オマエは死神だ。俺の婆ちゃんが死んだのはオマエのせいだ』などという恨み辛みともいえない被害妄想のような内容の巻物メールを果てのないスクロール地獄のように書き連ねていました。ある一人は、キャバ嬢に金を貢ぎまくった挙句に交際を迫って客としても切られた男性が、今まで使った金の合計額や買い与えたプレゼントの品名や値段などを明確に示して、いかに相手が酷い人道にもとる人間かを滔々と説いた巻物メールを送り届けていました。ある一人は、仕事先の若い女性に恋をして飲み会に誘い、そのあとで交際を迫ったが断られた50代の男性で『思わせぶりな態度で純粋を踏み躙られた』などという総毛立つほどの怒りを感じさせる巻物メールを投げつけていました。再度言いますが、どちらが悪いかは分かりません。この世界に数多ある巻物メールを精査することもできません。正当な主張である可能性もあれば、本当に相手が『死神』だったというメルヘンな実話かもしれません。
巻物を作成している段階では感情のほうが先に出て冷静さを失っているのかもしれませんが、我輩が疑問に思うのは、巻物製造者の方たちが最終究極到着地点に何を求めているのだろうかということです。その巻物を「巻物で御座る」と相手に届けて、そのあとに何を求めているのかが分かりません。思いの丈さえ伝えられればそれで満足なのか、唐突な別れが納得できないのか、戻ってきて欲しいという願望の裏返しなのか、目的が分かりません。おそらくですが、男女関係で感情が爆発した巻物メールの場合、可愛さあまって憎さ百倍、という慣用句が最も当てはまると思います。どうでもいい人間に対して、さして感情が昂ぶっていない事象に対して、巻物を送り届けるだろうかという我輩自身の論理に起因する逆説――パラドックスが当て嵌まるからです。
ですが――残念ですが、そんな気持ち悪い巻物を送って相手の心が戻ってくるわけがない、相手の心が手に入れられるわけがない、と全力投球で巻物を作った皆様には申し訳ないのですが我輩は思うのです。巻物に書いてあることが正当な主張で、たとえ巻物の受け取り手が理屈では相手の言い分が正しいと理解できても、感情の部分で否定されるはずです。感情の部分で否定してしまっている相手を受け入れるのは容易なことではありません。長々と説明しましたが、とどのつまりは逆効果というわけです。もっと言ってしまうなら、その中には冷静に考えればそれが逆効果であることも分かりながら、それでも巻物を作り、送り届けることを止められなかった者もいたと思うのです。悲しい負の無限連鎖が渦を巻きます。
先日、複数人で食事をしたとき、ある女性が巻物メールという言葉は使っていませんが、会社の先輩から巻物が届いて困っているという話をしました。我輩を含めて数人で、スクロールに次ぐスクロール、スクロール、スクロールで巻物を読みました。内容は説明しませんが、それはそれは立派な巻物でした。強い語調で相手を罵ってみたり、そうかと思えば褒めてみたり、壮大なスケールで展開する巻物でした。そして、この巻物を送った相手の気持ちを斟酌します。この巻物を送ることでどうしたいのか、どうなりたいのか、どういう結果を望んでいるのかを考えたところ、最終究極到着地点には「嫌わないでください」や「それでも好きです」という単純明快な願望しか見えませんでした。結局のところ、そういうことなのです。
ですが――残念ですが、巻物は駄目、絶対。巻物で相手の心は動かないから。これ、絶対。交際する前に相手のことを花や美しい物に例えた詩的な愛のメッセージなら相手によっては素晴らしい効果を生むかもしれませんが、十中八九、関係性が悪化したり、関係性が終わったあとに特に相手の悪いところを書き連ねたような巻物を送っても、相手は「あら、素敵!やっぱり私にはあなたしかいないわ!」とは、ならないと思うのです、我輩は……。
余計なお世話かもしれませんが、巻物を送ろうとしている諸兄は、巻物を作る前に、作ってしまったならば送信ボタンを押す前に、自分が巻物を送ることで一体全体どうしたいのか、どういう結果を招くことになるかを一度、冷静になって考え直してみてはどうでしょうか?気持ちは分かるし、理不尽さを覚えていることも納得できない感情も分かるけれども、その問題を解決するアイテムが巻物だとは到底思えないのです。
願わくば、世の中から悲しい巻物がなくなりますように……。
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COMMENT
街をクリーンナップする平均年齢58歳の若さ溢れる若葉会
デルなんとかでございます。
その節は大変お世話になりました。
如何にも巻物メールを送りそうなぼくですが、意外にもつらつらと巻物にまでして送ったことはありません。
ただ短くとも、骨川スネ夫氏のようなメールはかつて数通送った記憶がございます。
いや、スジ夫というよりは、天国に一番近い男の主人公みたいな感じかもしれんですね。
短いからこそムキー!が冷めないまま、ムキー!って感じのメールを送ってしまうんでしょうな。
ぼくはある日、悟りを開いて恒久的にムキー!ってなるのを控えるようにしたのですが、
その結果かなんか知らないけど、感情の起伏が乏しくなり、今や常時無気力みたいな感じになってしまいまして‥‥
いやはやどうしたもんかなと‥‥。
長々と、ってのはそこにかつてあった、いや、寧ろ現在進行形で愛情が深すぎるが故に暴走機関車のようになって、
止まらない思いをぶつけたくてしょうがないのでしょうね。
一度作った文章をもう一度よく読み返してから投稿してみましょう、というような注意書きをインのターのネッツの
掲示板で見かけますが、素直にそうしていれば恥をかかないで済むのですよね。
ぼくもかつてネッツで日記のようなサービスで発信をしていた時は、確認画面経由時にふと、あ、やっぱやめた、
やっぱ恥ずかしいし、画面の向こうの不特定多数のカワイコちゃん達に見られてるかもしれない!
みたいに我に返されたことがあるので、確認画面の経由はやっぱ偉大だなって思います。
ケータイメールでも、ある一定以上の文字数になったら確認画面が表示される、といった仕様になれば喜劇‥‥
いや、悲劇を繰り返さなくて済みそうですよね。
と、投稿ご投稿を行ってみたのですが、黙れ!と返してくれるととても嬉しいです。
そういうことさ、タモツ。明日があるしさ。そういうこと。インポ!
Re:街をクリーンナップする平均年齢58歳の若さ溢れる若葉会
誰のことやら分からないといった感じで、しらばっくれようと思ったけれど、我輩がインのターのネッのツで初めて一個人という、画面の向こう側の人格として知り合いになった貴方のことを我輩は忘れていません。忘れかけてはいましたけれど……。
当時、色々なことがありましたね。我輩も充分成人を迎えていたにも関わらず、ネットというものに初めて触れて、画面の向こうに他人がいるということは分かっていながら、その気持ちが非常に薄かったのだと思います。楽しい落書き的な思いでネットを利用していました。
お互いに、というと失礼なのかもしれませんが、ここはあえて言わせてもらえば、お互いに若かったのでしょう。食うや食わずの生活の中で二人で一緒に畑からトマトを盗み、見つかり、追いかけられ、そして神社の境内で食べたあの涙が出るほど甘いトマトの味は一生忘れないでしょう。あのときの貧しかったけれど、楽しかった日々の思い出は今もこの胸にあります。
あれからどうですか?元気ですか?ここはあえて言わせてもらえばパート2ということで、正味の話、ネットで恋愛して頭が狂ってから貴方とは疎遠になりましたが、どうやって検索かけて我輩の日記に辿り着いたか知らないけれど、我輩のことを気にかけていてくれていたのですね。我輩、感無量です。我輩、あなたのコメントを見て、ふわっとテンションが上がりました。
ここはあえて言わせてもらえばパート3ということで言わせてもらえば、確かに疎遠になる少し前の貴方からは『巻物』を製作しそうな性格を感じ取りました。本名をバラすのは違反行為の越権行為かもしれませんが、恋愛が絡むとアンストッパブル暴走三輪車、という本名の通りの人格でした。我輩にも至らないところがあったと思いますが、突然、皇帝陛下の我輩の手の内から離れていったとき、とても悲しい思いを抱いたことを鮮明に覚えています。
最後に我輩から――。
痴漢アカン!巻物アカン!
また、遊びにきてね。貴方のためにも我輩、楽しい日記を無い知恵を振り絞って書きます。もうすぐ、どこぞかのクリエイター集団に加わって何らかの創作活動をしようと思っていますので、その経過報告もこの日記でしていこうと思っています。